【葬式入門】葬儀業者の闇

警察と葬儀業者の黒い関係

警察指定葬儀業者

誰かが亡くなり遺族が霊安室へ行くと、灯明に火をつけ線香を立て、白衣を着た監察医の横で忙しなく働く人物がいます。一見すると警察関係者のようですが、実際この人物は葬儀業者なのです。

葬儀業者の中には「警察指定葬儀業者」という肩書きを持つ業者が存在します。交通事故や老衰などの自然死、死の直前24時間の間に医師の診察を受けていない人の死は「変死」と呼ばれ、事件性の有無を警察が調べる事になります。警察が日々取り扱うこうした遺体の搬送処理を一手に引き受けるのが、警察指定葬儀業者なのです。

多くの遺族は肉親が亡くなったショックで、物事に対する思考力が低下しています。そこに警察官から「警察指定の葬儀屋さんに搬送をお願いしておきます、いいですか?」と言われ、いいえと答える遺族はほとんどいません。警察指定と聞くと、多くの人はそれだけで安心してしまうものです。しかし、警察指定葬儀業者を使う義務は遺族にはありませんし、この手の葬儀業者は遺族が費用や料金などを考える余裕が無い事を良い事に、かなりの高額な料金を請求するのが常なのです。

警察と葬儀業者の癒着の構造

警察から提供される遺体は数が多く、業者からすれば儲けのタネという事になります。葬儀業者は警察から遺体をもらうために形振り構いません。

かつて監察医が、臓器の摘出や解剖後の縫合を葬儀業者に手伝わせていた、という新聞記事が出た事がありました。葬儀業者からすれば、例え無茶な要求であっても遺体を提供してくれる警察や監察医の命令なら従うものなのです。そしてなぜそこまでするかと言えば、それだけのリターンが期待出来るからでしょう。ここに日本の葬儀費用が異常な高額になる理由の一端があります。

指定業者は日頃から警察と親密な付き合いをします、いわゆる心づけです。ビール券であったり現金であったり、警察の協力団体の会員となり会費を負担したり、業者は指定業者にしてもらうため、指定業者を維持してもらうため、優先的に遺体を振ってもらうために様々な心づけを行っています。

警察の方は、遺体が出たら葬儀業者の連絡先一覧から、業者を選んで連絡しますが、その場の刑事の胸三寸であり、当然自分に都合の良い業者を選ぶ事になります。そして、そういった業者の請求する葬儀費用には、これら必要経費分も上乗せされる事になるわけです。

病院と葬儀業者の黒い関係

病院と葬儀業者

葬儀業者にとって、警察よりもさらに美味しいのが病院です。病院はその性質上、遺体が次から次へと出てくるためです。大抵の病院では一定の基準を設けて出入り業者の選別を行っています。表向きの理由は遺族の便宜を図り、病院業務を円滑にするためとされていますが、実際は気に入った業者に遺体を流すのが目的とも言われます。病院は遺体を特定業者に流す事で金銭を受け取っているからです。

民間病院の場合、3~4社の業者と年間契約を結び、契約金の相場は1ベッド辺り10万円ほどと言われています。病床数が500なら5千万円が動くという事になります。こういった葬儀業者が使用した営業経費は、当然、葬儀代に上乗せされる事になります。

こういったリベートが行われているのは私立の病院がほとんどと言われ、都立病院などの場合は抽選で出入り指定業者が選ばれるシステムになっているようです。

新規業者が大病院と契約するのは至難の業であり、大抵は元大手葬儀業者や警察OBといった、仲介者を立てて取り入るとされています。当然彼らの接待費も生じます。さらに個人オーナーの病院では寄付金として金銭を要求し、医療器具や診察室の改装費、果ては交際費や飲食代に使われる実態があります。それらも全て葬儀費用に上乗せされ、遺族が支払う仕組みになっているのです。

看護師と葬儀業者の関係

リベートを受け取るのはお偉いさんだけとは限りません。葬儀業界では「現場の看護師に嫌われたら仕事にならない」と言われています。病院指定の葬儀業者は看護師のご機嫌を取るために苦労しているようです。それでも看護師に取り入ろうとするのは、それだけのメリットがあるからでしょう。

葬儀業者は遺体が出た時、遺族に葬儀は当方で…と当然口説きにかかります。その時、看護師の口添えがあれば決定的になります。看護師は長期間故人を看護した人物であり、遺族からの信頼も厚い。その看護師がこちらの業者さんは安心ですよと言えば、断る遺族は少ないからです。

看護師は職務上、患者の家族構成や年齢、職業といった個人情報を把握しています。見舞客の質や人数などから患者の社会的地位、経済状況まで知り得るわけです。さらに看護師は主治医からの指示やカルテ、投薬内容の推移などで患者の余命をある程度予測する事が可能です。これらは葬儀業者にとって、喉から手が出るほど欲しい情報でしょう。

他にも死亡診断書を何通請求したか、という事も知る事が出来ます。死亡診断書は火葬や除籍に必要になるだけでなく、生命保険の支払い請求にも必要になります。つまり、請求数でおおよそ生命保険の加入数が分かるのです。それが分かれば支払われる保険料もある程度は予測がつき、どれ位まで遺族が出せるかという目安に活用出来るのです。

これだけ旨味がある存在ですから、葬儀業者は必死に取り入るわけです。問題の相談に乗ったり、合コン費用をもったり。主任以上の看護師、病棟の婦長や病院の総婦長などになると、ショーパブやホストクラブでの接待、ゴルフ、飲み会、海外旅行、ブランド品など色々な営業費用を業者が負担していると言われます。中には営業マンにホストのようなイケメンを揃える業者も存在します。有力な看護師と男女の仲なれば、わざわざ金銭での接待攻勢を行う必要がないのだとか。

遺体飛ばし

遺族や故人が事前にどの葬儀業者を使うか決めている場合もあります。亡くなった後、看護師は病院指定の葬儀業者を紹介しますが、自分達は既に業者を決めているからと断る遺族もいるわけです。ある遺族は看護師からその業者に連絡したが忙しくて無理だと連絡を受けたので、病院指定の葬儀業者を使って下さいと言われ、渋々諦めたそうですが、後で確認してみるとそのような事実はなく、看護師の嘘である事が発覚しました。

このような事は多くないでしょうが、頭の隅に置いてくのは悪くないでしょう。

悪徳業者の手口

もぐりの業者は白ナンバー

葬儀業者の使う遺体搬送用の寝台車、つまり霊柩車は緑ナンバーです。もし搬送用に来た車が白ナンバーなら、もぐりの業者を疑った方がよいでしょう。中には別に構わないと開き直る業者もいますが、違法営業になりますので気を付けて下さい。

原価の無い業界

葬儀業界というのは原価があって無いような業界です。二束三文の物に何十万円という料金設定をし、それが当然のごとくまかり通っていく、そういう世界なのです。その最たる存在が「祭壇」でしょう。

葬儀費用の見積もりを取ると、「祭壇設備」が突出して高額なのに気付かれるでしょう。棺などは消費物ですが、祭壇は単に借りているだけです、つまりレンタル料でここまで高額なわけです。遺族はたった2日借りるだけで何十万円というお金を払っているわけです。そのため祭壇は葬儀業界ではドル箱とされています。

非常に手の込んだ祭壇を300万円で新調したとしても、遺族に100万円でレンタルすれば3回で元が取れ、その後は全てが利益になります。丁寧に扱えば10年20年使えるわけですから、葬儀業者は腹の底から笑いが止まらないでしょう。

こういった事が知られてきたためか、「祭壇料50%オフ」などとチラシに書く業者もいます。しかし、こんなものは他の料金に引いた分上乗せするだけですから無意味です。見積書の祭壇料何十万円を横線で消し、0円と書く事でお得感を出したり(勿論、多項目に上乗せ)、パンフレットでみすぼらしい安い祭壇と美しい高い祭壇の写真を対比させ、高い方の祭壇を選ぶよう誘導する、みずぼらしい祭壇は実際は使用してさえいないなんてやり方もあります。

棺もまた根拠無く高額になっている商品です。棺の材質はラワン・ベニヤ張り、桐・檜と色々あり、当然ランクも違ってきます。しかし、原価などはせいぜい8千円~5万円程度です。棺の相場はおよそ原価の10倍と言われています。たかが1万円程度の棺を10万円で買わされているわけです。遺族は棺の原価の相場など知りませんし、わざわざ材質を確認する人もいません。遺体搬送時に遺族の了解を得ず、勝手に棺に入れ後々請求してくる業者いるので注意しましょう。

とかく葬儀業界というのは、訳の分からない名目でお金を搾り取る業界です。何も知らないといつの間にか丸裸にされるため、しっかりと知識を身に付け、業者と対峙しなければなりません。

祭壇料は給料の2ヶ月分

葬儀業者がよく口にするものとして、「給料の2ヶ月分を祭壇料に当てるのが一般的ですよ」があります。勿論、こんな言葉に根拠はありません。

似たものとして「結婚指輪は給料の3ヶ月分」という言葉があります。これはジュエリー会社がCMで作り上げた思い込みであり、葬儀業者も全く同じ事をして高額な料金を正当化しているのです。場合によっては2ヶ月分が3ヶ月、4ヶ月と増えていくでしょう。

マンションや団地のケース

業者はまず、あなたがマンションや団地住まいかどうか聞いてきます。マンション、団地はエレベーターや玄関の構造上、遺体を運び入れられない場合も多く、事前に確認するのですが、葬儀業者が聞くのは他の理由もあるのです。

マンションや団地では、管理組合や自治会が運営する集会場がある場合が多く、マンション住まいであってもそうした場所を葬儀会場として使用出来ます。しかし、葬儀業者はこういった事実を教えず、「ではこちらで管理している斎場でご葬儀を行いましょう。」と言ってくるのです。その理由は単純明快でその方がお金を搾り取れるからです。

例えマンションやアパート住まいでも、必ず「葬儀は自宅か集会場決めています。」と答えましょう。

一戸建てのケース

遺族が一戸建てに住んでいる場合は、直接斎場へ向かう事はまずなく、自宅へ搬送する事になります。この時、気を付けなければならないのは、業者が当たり前のように仕切り始める事です。

業者に頼んでいたのは、あくまで自宅前までの遺体の搬送です。しかし、業者は当たり前のように自宅に上がり込み、磁石で方角を確かめ、床の強度を調べ、家具や調度品の移動を行い、遺族に指示しながら遺体の安置場所を決定します。さらに持参した焼香台や枕飾りの準備を始める。そのような姿を見ていた葬儀の事を何も知らない遺族は、とても頼りになる存在と映るでしょう、こうなればもはや契約は取れたも同然です。

後はあたかも既に契約がされているかのように、今後の予定を遺族に説明し始めるだけでしょう。遺族は何も疑問に思わず、そのままその葬儀業者を使う事になり、葬儀を終えた頃に明細書を見て、なぜそれだけ親切にしてくれたのかの理由を知るのです。

警察や病院の指定業者だからといって、必ずしもそこを使わねばならない義務はありません。もっと安くて質の良いところもあるかも知れません。日本人は厳粛な場面で金銭の話をする事を避けたがりますが、流れに身を任せるのではなく、しっかりその葬儀業者は契約に値する業者なのか選別した上で、最終的な決断をするのが望ましいのです。

相場を聞いてはいけない

葬儀業者を決定し、次にするのが葬儀の規模と予算の決定です。ここで多くの遺族が業者に「相場はいくら位でしょうか?」と聞いてしまう。これは一番聞いてはいけない質問で、自分は葬儀に無知ですよと言っているようなものです。

業者が良心的でない場合、当然、何も知らない相手と考え、値段を出来るだけつり上げてきます。妙に高いプランを提示してきても鵜呑みにしてはいけません。業者のよく言うセリフとして「この方が仏様もお喜びになりますよ」というものがあります。

既に亡くなっているので喜びようはありませんが、遺族は仏様を出されると弱いのです。中にはあるにも関わらず、梅コースは出さずに竹・松・特上と表現するずる賢い業者も存在するようです。実際は松竹梅と単純ではなく、もっと細分化されている事が多いのです。

通夜ぶるまいの料理が多過ぎる

通夜で悩むのが通夜ぶるまいの料理の量です。多過ぎれば余ってしまうし、少なすぎれば喪家の恥になる。

葬儀業者は「足りなくなるとみっともないし、少し余る位で丁度良いでしょう」と言ってきます。純粋なアドバイスとして言っている業者が多数でしょうが、中には葬儀費用をつり上げるために言う業者も存在します。

ほとんどの葬儀では、葬儀業者に言われるまま用意してしまい、結果、大量に余らせてしまうと言われています。営業担当者がやたら多く注文したがるのは、それが成績、給与に反映するからです。

通夜ぶるまいの料理は参列者の50%、多くて70%が目安とされ、節約したいと考えているなら、親族分を余裕分として注文しておけばよいでしょう。もし会葬者が予定より多ければ、手を付けていない親族分の料理を出せばいいだけです。親族はいざとなれば出前を取ればよく、寿司の10人前位であれば問題無く届けてくれるでしょう。

葬儀を自宅で行う場合には、もし料理などが足りなくなっても、近くのスーパーやコンビニで調達する事が出来るため、それほど心配する必要はありません。自分の利益だけを考えている葬儀業者に当たってしまうと、必要以上の出費になるので気を付けましょう。

通夜ぶるまいの料理はなぜ不味いのか

よく通夜ぶるまいの料理は不味いと言われます。斎場で提供される料理は、葬儀業者と提携している仕出し屋か葬儀業者直営の仕出し部門で作られています。元々がぼったくり体質のある業界ですから、料理も質が悪い割には値段が高い。

調理から時間が経っており不味く、品数も少なく高い。ろくな物ではありません。通夜ぶるまいで出されるジュースや酒といった飲料は、栓を抜かなければ返品出来るシステムが主流です。そのため、中には遺族に断りもなく次から次へと栓を抜いていく業者もいたと言います。

まともな競争が働いていない世界の商品は質が悪い、これはどの業界でも真理であり、質を期待するなら料理等は自分で用意する方が無難かも知れませんね。

最近の僧侶は機械に頼る

機械に頼る事が良いか悪いは分かりませんが、現代ではお坊さんですらコンピュータなどを使う時代です。

今は戒名をつけるソフトという物が存在します。故人の個人情報を入力するとコンピュータが適当な戒名を出してくれるという物。これだったら遺族がソフトを買ってつけた方が安上がりなのでは? と思ってしまいますね。

他にも卒塔婆を印刷する専用プリンタという物もあります。神仏の世界が精神性ではなく効率性を追求するのも、一つの潮流という事なのでしょうか。

偽坊主

坊主の中には坊主とは名ばかりの偽坊主がいるのです。葬儀業者が募集広告を出し、突貫工事のように勉強させてにわか坊主を大量に作る。そして、それぞれ宗派を割り当て、自分達の葬儀に出演させるわけです。こうすれば紹介手数料を坊主側から受け取るのではなく、お布施の全額が業者に転がり込むため、このような偽坊主が作り出されるのです。

明確に偽坊主を見破る方法はありませんが、納骨の時に霊園についてきてくれるかどうか、というのも見分け方として挙げられるという。お墓では立ってお経をあげるため、経本を開いて見ながら読経出来ない。にわか坊主はまともに修行してお経を覚えているお坊さんとは違うため、逃げてしまうのだそうです。

互助会の実態

互助会とは

互助会は共済などと同じような組織で、会員相互が助け合う相互扶助を目的とした組織であり、月々に決められた金額を積み立てる事で、いざ亡くなった時の葬儀代金を全て賄えるというシステムです。これにより、葬儀費用を共同で負担する事で、金銭的に苦しい家庭でも葬儀を行う事が出来るのです。

しかし、この互助会も葬儀業者と同じように、一部には悪質な互助会も存在しているのです。

勧誘に気を付ける

互助会でよく起きるトラブルが、勧誘の時に言った内容と実際の葬儀内容が違うというものです。互助会は勧誘部門と施行部門(葬儀の役務担当)で別れており、勧誘担当者はどうせ葬儀は先出し、その時がきても自分は関係無いのだからと、加入させるのに都合のいい事ばかり言う傾向があります。中には受けられもしないサービスまで口にする人間もいるのです。

経済産業省認可の実態

互助会系葬儀業者が発行するパンフレットやWebサイトには、経済産業省認可を示す文言が書かれています。これは一見すると、この互助会が経産省のお墨付きを貰った安心出来る団体である、と思ってしまいますが、実際はあまり当てにならないのです。

経済産業省認可というのは、経産省がその互助会を葬儀業者として認可、指導しているという意味ではないのです。互助会は会員から一定期間、毎月一定金額を徴収し、会員が葬儀を行う事になったら、契約に定める役務などを提供するというものです。こういった商品やサービスの提供をうける前に代金を積立形式で支払う取引を、「前払特定取引」と言います。

前払特定取引は実際に消費者が商品を手にするまで、長い時間がかかる取引です。その間に業者が倒産すれば積立金がパーになる可能性もあります。そこで、前払特定取引をする業者は事前に財務内容等のチェックを受け、経産省からその認可を受ける義務があるのです。

しかし、そういった審査をパスしたとしても、必ずしも倒産しないとは限りません。不況のご時世ですから、認可を受けていても倒産する業者は少なくありません。積立金は割賦販売法(かっぷはんばいほう)に基づき、積立金残高の1/2が保全される事になっています。

つまり、経済産業省認可というのは、万一、倒産しても積立金の1/2は戻ってきますというだけで、経産省が認めた倒産しない優良業者です、という意味ではないのです。経済産業省認可を盲目的に信じるのは危険でしょう。

コース料金だけでは葬儀は出来ない

互助会には、設定金額に応じた様々なコースが用意されています。より充実したコースほど積立金も高くなります。注意すべきなのは、掛け金だけでは葬儀の全てを賄えないという点です。

葬儀業界は「葬儀一式」という言葉をよく使います。知らない人は一式なのだから、これで葬儀に掛かるもの全てだろうと思いがちですが、これは最低限のものしか含まれていない言い方です。葬儀に掛かる全てのものを含む場合は「葬儀の一切合切」と言います。

最初、会員はこのコースに入っていれば葬儀一式、全て大丈夫と思い加入しますが、実際は他の部分でさらに費用が掛かるという事態になり、会員と互助会でトラブルが起きるのです。こういった事が起きる原因は、まず加入者が最初の契約内容を把握しないまま加入してしまう。葬儀をすぐ行うわけではないので、契約内容を忘れてしまう。加入者自身が死亡し、家族に上手く内容が伝わっていない。加入させるため勧誘員が無理のある説明をする、などが挙げられます。

上記はまだ明確に悪意があるわけではありませんが、互助会も一般的な葬儀業者と中身はほとんど変わらない実態があります。一般的な葬儀業者はセット料金を提示し、そこには葬儀一式と書かれておりそのお金で全て終わりであるように装います。しかし、実際の葬儀では葬儀一式という最低限の部分だけでなく、他にも何かに付け出費が嵩み、結局、セット料金の倍の金額で終わるという事が多いのです。

互助会ではセットをコースと言い換えて、全く同じ事をしているのです。同じ葬儀業界のプレイヤーですから、同じ事をするのも頷けます。しかも、互助会は経済産業省認可という錦の御旗を掲げているため、余計たちが悪いと言えるかも知れません。

こういったトラブルに巻き込まれないためには、事前にプラン内容を確認し、家族に正しく伝える事が何より大切になるでしょう。

飲食も葬儀業者と変わらない

前述した「悪徳業者の手口」でも葬儀業者の出す通夜ぶるまい等の料理は不味い、と書きましたが、互助会で出される料理も大差ありません。火葬場で出されるお弁当が6千円もしたり、通夜ぶるまいの天ぷらが凍っていたといった有様。所詮、同じ業界で生きる葬儀業者ですから、やっている事に違いなどないわけです。

生花も使い回されている

最近は単なる木製の祭壇ではなく、周りを生花で飾られた「花祭壇」がブームになっています。この時の生花は当然買い切りなのですが、実際は使い回していると言われています。

生花は遺族が買っているので、それを持って帰っても問題ありません。しかし、中にはこのような花は持って帰るものじゃありませんと、渡さない業者もいます。ではこれらの生花は廃棄処分されるかというとそうではなく、遺族にバレないように祭壇の基本ラインを変えて、別の葬儀で使用したりするのです。

単にリサイクルだと憚らない葬儀業者もいますが、要はリース品という事であり、にも関わらず新品の生花代金を取っているのだから立派な詐欺です。最近になってやたら花祭壇が多くなってきたのは、こういった理由も一つにはあるのでしょう。

花祭壇を選ぶのは遺族の自由ですが、よくよく考えてから決定した方がいいいのかも知れませんね。

悪徳業者から身を守る

「指定業者」の肩書きにまどわされない

葬儀費用でぼったくられないために、最初に気を付ける事は葬儀業者の選定です。多くの人が深く考えずに、警察や病院指定の葬儀業者をそのまま使ってしまいます。元々、指定業者制度は、制限しなければすぐ群がってくる業者と遺族との混乱を防ぐための制度です。警察や病院が選定した業者を、取りあえず優先的に接触させているだけで、葬儀は勿論遺体の搬送もその葬儀業者に任せなければならない道理はありません。

その葬儀業者が本当に葬儀を依頼するに足る業者かどうか考え、警察や病院から「うちの指定ですから」と言われても必要なければしっかり断る事が重要です。

規模の小さい地元業者

必ずしも信用出来るとは言いませんが、昔から地域に根ざした葬儀業者というは信頼出来る業者が多いようです。小さな業者というのは、地元に人達と長い信頼関係を築きながら生き残ってきた業者です。こういった業者は悪評が立つとすぐに広まってしまい、仕事が出来なくなってしまう。そのため暴利を貪るような仕事はしないものです。

逆に広い地域で事業展開している大手の葬儀業者というのは、そういった評判に鈍感だったりします。そもそもあこぎな商売をするから大きくなれたという側面もあり、小さな業者はそうでないから未だに小さいまま、という事も言えるでしょう。絶対ではありませんが、一つの目安にはなるかも知れません。

一人で打ち合わせはしない

葬儀業者は場数を踏んだプロであり、遺族は素人で大抵その葬儀が喪主としては初めてだったりします。こういった場合は間違い無く業者に高額な葬儀費用を巻き上げられる事になります。

葬儀内容の打ち合わせでは、必ず複数の人間で行いましょう。家族が亡くなり、訪れた指定業者とその場で契約するなど以ての外です。取り敢えず遺体を搬送してもらい、葬儀全般の交渉は翌日以降に行いましょう。

人が亡くなると何もかもすぐに行わなくては、と思いがちですが、実際は時間はあるものです。火葬も法律上24時間以内は出来ませんし、最近は遺体の冷蔵技術を向上しています。業者によっては遺体用の冷蔵庫を貸し出したりしており、急いでよく考えないまま葬儀を決めてしまうよりは、遺体の安置にお金を使いしっかり考えた方が、ずっと費用は安く済むのです。

葬儀一式に騙されない

葬儀業者はよく「葬儀一式」という言葉を使います。何も知らない人からすると、葬儀にかかる全てを表しているように感じます。セット料金には大抵、葬儀一式と書かれていますが、それだけでは葬儀は行えないのです。

この葬儀一式の中には、お寺の紹介料、お布施の立て替え、通夜ぶるまい等の飲食代、生花代、返礼品代など、普通の葬儀で必要となる費用が含まれていないのです。結局、葬儀一式に含まれていないオプションの部分で、葬儀費用の総額を吊り上げる仕組みになっているのです。

業者に葬儀費用を伝える時は、「葬儀一切合切でいくらなんですか?」、「うちが出せる金額は○○万円だから、必ずこの金額を超えない範囲で見積もってくれ」などと明確に伝える事が必要です。

詳細な見積書を作らせる

葬儀を検討する時は、必ず見積書を取りましょう。そして、項目の一つ一つを担当者に確認していき、分からない不明瞭な部分はどんどん聞いていく事が重要です。特に「など」や「含む」といった表現の場所は気を付けなければいけません。こういった態度を見せるだけでも、業者側は簡単に巻き上げられるタイプではないと思わせる事ができ、威嚇として役に立つはずです。

わざわざ詳細な、と付けているのには理由があります。業者が出してきた見積書を見ると、驚くほど乱雑な文字や意味の分からない記号が多いと言われます。その時は業者の説明を聞いて分かったような気になりますが、時間が経つと見積書を読んでも意味が分からないという事になります。

これは後日のトラブルを考えて、わざと判別出来ないように書いているといいます。勿論、こんな悪徳業者ばかりではありませんが、もし、判別出来ない意味の分からない数字や記号が出てきたら、業者にしっかり説明を求めるか、書き直しを要求しましょう。

項目(生花代など)によっては当日にならなければ分からない、と言ってくる業者もいます。しかし、長年仕事をしているのだから概算くらいは出せるはずです。こういった事もしっかり相手に金額を書かせましょう。

セット料金ではなく積算方式を見る

葬儀料金の仕組みは大別すると、「セット+実費方式」と「積算方式」の2通りあります。セットやプランと聞くと、葬儀に必要な物は最低限揃っていると思いがちですが、実際はセットの内容だけでは葬儀は出来ないのです。ここからいくつもオプションをつけてやっと葬儀ができ、セットという撒き餌で顧客を呼び寄せオプションで荒稼ぎするのが、葬儀業界の常套手段なのです。

それと比べて積算方式は、それぞれの値段が確認出来るシステムであり、セット+実費方式よりずっと明朗です。業者の言う見積もりは、大抵セット+実費方式を指いるため気を付けて下さい。セット方式以外では見積もりは出せないと言ってくる業者なら、さっさと別の業者に返る事をお勧めします。

業者の中には、素人である遺族に積算方式で決めさせると、使うアイテムのグレードがアンバランスになってしまうから、セット料金の方が体裁がよいと言う人もいます。本当にそんな意味で業者がセット料金を推奨しているかは分かりませんが。

齋場を持つ業者か

昨今の葬儀費用高騰の理由の一つが「斎場」と言われています。超高齢化社会が間近に迫る日本では、大死亡時代に向け多額の設備投資をしている葬儀業者が多いのです。いずれそういった時代が到来し、投資額を回収できるとしても、今はまだ苦しいわけです。そのため、投資額を回収するため顧客からよりお金を吸い上げようとしているのです。

この業界は、どこかを無料にしても、結局は他に上乗せして請求するのが当たり前です。斎場を持つ業者がよく「斎場使用料無料」とうたっていますが、当然、他の名目で高額請求しているのです。つまり、斎場無料というのは安く見せるためのまやかしでしかありません。

斎場なんて別に業者が持つ所を使う必要はありませんし、持っている業者は設備投資で使った金額の回収に必死となり、ぼったくろうという動機付けを生み出します。特別な理由がない限り、自社斎場を持たない業者を選んだ方がいいかも知れません。

自宅で葬儀をやりたいと言ってみる

ぼったくろうとしてる業者は、当然自分達の斎場でやりたがります。そのため自宅で葬儀をやりたいと言って、その時の業者の反応を見る事で、ある程度は業者の質を判断出来るでしょう。何かしら理由をつけて自分達の斎場に引き込もうとする業者なら、その時点でお引き取り願うのが得策でしょう。

逆に言えば、自社斎場がありながら、遺族の要望に真剣に対応してくれるのなら、そこは優良業者といって構わないでしょう。

市民葬や区民葬を嫌がらないか

市民葬や区民葬は全ての業者が行えるものではありません。基本的に市や区から委託を受けた葬儀業者間で価格を設定するシステムになっています。そして、市区町村長から指定を受けた業者は、その依頼を断る事は出来ません。しかし、市民葬や区民葬は一般的な葬儀と比べ旨味が無いため、嫌がる葬儀業者が非常に多いのです。

こういった業者は、単に「指定業者」という肩書きで信用を取ろうとしているだけなのです。当然そんな業者に遺族が満足出来る葬儀を期待するのは無理でしょう。

市民葬や区民葬を積極的に活用する

市民葬や区民葬は葬儀業者が好き勝手にやりにくい葬儀であり、結果として騙されにくくなります。費用も安く、葬儀で必要な事もちゃんと揃っています。無駄に葬儀業者にぼったくられるくらいなら、市民葬や区民葬の方がずっとよい葬儀になるでしょう。

市民葬や区民葬は福祉行政の一環ではないため、行うにあたって特別な制限はありません。市民葬かどうかは基本的に喪家が言わなければ分かりません。

市民葬や区民葬は知名度が低く、知らない人も大勢います。「今時、市民葬は恥ずかしいですよ」などと言ってくる業者も存在します。しかし、昨今の葬儀費用の異常な高さを考えると、市民葬や区民葬は誰もが一度は考慮に入れるべき葬儀方法なのです。

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