キャラクターの作り方

キャラクターの造形

漫画のキャラクター造形

登場人物の人間像を創造するには、まず単純な欲求を作り、それを元に人物像を肉付けしていき、全ての読者が共感を覚える様な人間に完成させます。

まずはバックストーリー(バックグラウンド)を考えます。バックストーリーとは物語が始まる以前のキャラクターの履歴を言います。大体十年スパンで考えるのが良いと思います。(項目は単なる一例です)

●誕生から十年(0~10才まで)
○幼稚園、小学校
○友人関係
○成績
○身体能力
○性格、人格
○家族構成
○趣味、特技

●11~20才まで
○中、高校時代
○友人関係
○恋人
○成績
○身体能力
○性格、人格
○家族構成
○趣味、特技

●それ以後
○大学時代
○サークル活動
○友人関係
○恋人
○成績
○身体能力
○性格、人格
○家族構成
○趣味、特技
○影響を受けた存在

バックストーリーを作ったら、次に現在の設定を考えます。現在とは物語が始まって終わるまでの事です。

●現在
○家族構成
○恋人
○未婚か既婚か
○居住地
○職業、仕事
○就業地
○同僚との関係
○趣味、特技
○思想信条
○健康状態
○現状に対する考え

キャラクターとして必要不可欠な特徴として以下の四つが挙げられます。

●はっきりとしたシナリオ上の欲求を持っている
●独自の考え、視点、世界観を持っている
●内面が行動や態度に如実に表れている
●物語の始まりから終わりまでに変化、変身を遂げる

キャラクターには強い個性が必要

キャラクター作りで意識すべきポイントは以下の3つです。

●強い個性
●他キャラクターとかぶらない
●ストーリーと存在意義をリンクさせる

キャラクターは基本的には個性的であるほど魅力が増します。特に漫画の場合は荒唐無稽である方が面白い位です。具体的にどの様なものが良い個性付けなのでしょうか、ここで参考になる漫画家は「高橋留美子」です。うる星やつらやらんま1/2などで知られる漫画家で、海外でも多くのファンがいる大御所です。彼女の作中に現れるキャラクター達は皆一人として没個性的な人物はおらず、高橋作品の魅力のかなりの部分を、この個性溢れるなキャラクター達が作り出しているのです。

高橋留美子のキャラクターの個性付けは非常に参考になります。まず挙げられるのが「個性が非常に強烈である」事です。ちょっとお金に汚いとかちょっと何かが苦手というレベルではなく、現実ではあり得ない強さで描かれています。これでもかとデフォルメされた個性がキャラクターを生き生きとさせ、漫画を盛り上げているのです。

次に挙げるのが「ギャップを持たせている」という点です。見た目で人を判断するなとよく言われますが、現実では大抵外見と内面が一致しているものです。しかし高橋留美子はこの現実を敢えて曲げる事でキャラクターを魅力的にしています。
例を挙げましょう。

●異常に食い意地が張っている坊主
●もの凄い怪力を発揮する、か弱い女子高生
●口が悪くずる賢い、可愛らしい幼児
●とんでもないスケベな老人
●我が子よりも自堕落でだらしない父親

つまりキャラクターの外見や職業からイメージされる個性とは正反対の個性を与えているのです。高橋留美子が作ったキャラクターで個性的でない者はいません、強烈な個性はキャラクターに自然とセリフを喋らせストーリーを進展させます。個性の種類として外見、性格、特技、弱点、口調、過去などがあります。

作中に同じ様な役割や印象のキャラクターを複数配置する事は避けるべきです。キャラクターがかぶると被ったキャラクターの影が薄くなり魅力が失われるからです。

そのキャラクターがなぜいるのか、なぜ話に登場してきたのかという事を、ストーリーとリンクさせると上手くキャラクターが動き物語が展開します。突如登場してきたけれど、別段意味の無いキャラクターが出てきてしまうと読者は混乱してしまいます。

キャラクターの掴み方

キャラクターを作ったはいいが、彼が一帯どんな風に行動するのかどうも掴めないという場合には、その人物が恐れる事、怖がる事を考えます。

例えば山田という人物がいて、彼は大学の経済学部教授でとても自尊心が高いとします。彼が恐れる事は他人に侮られたり頭が悪いと思われる事です。となれば彼はきっと日常では気位が高く、横柄で他人を見下す態度をとっているでしょう。学生が常識的な経済学的知識を知らなければ両手を挙げ、大仰にため息を吐くかも知れません。他人と話していて知らない単語や知識が出てきても、さも知っている風に装い泰然と構え、後になって必死に意味を調べたりするでしょう。

そのキャラクターが何を恐れるかを考えると、物語の中で見せるリアクションも自然と頭に浮かぶのではないでしょうか。

主人公の思想行動は、ターゲット層にとって違和感の無い様に

何だかんだ言っても読者は主人公に自分を重ねるものです、その主人公の思想や行動が読者にとって馬鹿馬鹿しかったり、腹立たしかったりすると読者はストレスを感じ作品を放棄するでしょう。シナリオを書く場合はターゲットとなる層を理解し、その層にとって不快にならない様なストーリー展開を心がけましょう。