オープニングの重要性

オープニングに必要な事

スタート位置にいる女性

オープニングには必ず入っていなければならない要素があります。

●主要登場人物がしっかり紹介されているか?
●何についての話なのか?
●物語の世界観、社会状況はどうなっているか?
●主人公の行動原理が設定されているか?
●物語が進んで行くための問題(出来事)が既に起きているか?

これは物語を楽しむ上で必要になる情報ですから、早い内に読者に理解させなければなりません。

オープニングはとても重要

ハリウッド映画脚本の世界では、最初の10ページ(最初の10分間)が脚本上最も重要であると説いています。これは映画脚本に限らず小説やドラマの教則本にも必ずオープニングの重要性が書かれているものです。当然これは漫画にも当てはまります。面白いかどうか、この先も読み続けようかどうかは最初の3ページで決まると思っています。面白い漫画は最初の数ページからすでに面白いというのが経験則としてありますし、既存の人気作を見てみると、週間連載(約20P)は3P以内、読み切りや月刊連載などページ数の多い物でも、5P以内に大きな出来事が発生している事が多いです。

漫画にしろ何にしろ、娯楽作品というのは始まってすぐに面白くなければならないのです、でなければ様々なライバル達に競り勝つ事は不可能でしょう。
オープニングとは、「登場人物の説明」と「ドラマの前提」と「状況の説明」が素早く無駄なく行われ、かつ読者に続きを知りたいという欲求を起こさせるもの(ツカミ)を提示する部分なのです。

事件は物語が始まる前に起こす

多くの人はシナリオは物語の最初からではなく途中から始めるという事を知りません。物語が始まる前に多くの事が既に起きているべきなのです。

例を出しましょう。

何かサスペンス物のストーリーだったとして、冒頭ある男が自宅で目を覚まし、物思いにふけるシーンから始まり、車か何かに乗って目的地へ移動する。到着した家のインターホンを押すと、中から住人が現れる。男は突然懐から取り出したナイフで住人を一突きにした。被害者の体から真っ赤な血が広がっていき、男は呆然とその光景を眺めていた。

これは別段意味のあるものではなく何となく書いた物です。シナリオで最初に削除すべきなのはオープニングです。大抵無駄に冗長になっているからです。このシナリオの始まりは本来どこからでしょうか?それは最後の、

「血を流す被害者を、主人公が眺めているシーン」

です。

突然ここから始まった方がインパクトがあり惹き付けられませんか? 事件は物語が始まってから起きるのではなく、物語が始まった時にすでに起きていなければならないのです。こうする事で突然多くの疑問や謎を与えられた読者は、なぜ男は血を流して倒れているのか、眺めている男はどういう男なのか、この男が殺したのかと心に沸いた疑問を解消したいという欲求を覚えるからです、つまり続きが知りたくなるのです。