オープニングとは
チェスには序盤の定石である「オープニング」というものがあります。対局が始まってからの10手前後の定石の事です。
オープニングを大別すると「オープンゲーム」「セミオープンゲーム」「クローズドゲーム」「フランクオープニング」の4種類になり、それぞれの系統に数多くのオープニングが存在しています。
ここではそれらオープニングを紹介します。
オープンゲーム | 白e4黒e5で始まるゲームを言います。 |
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セミオープンゲーム | 白e4に対し、黒がe5以外の応手をした場合のゲームを言います。 |
クローズドゲーム | 白がd4で始めるゲームを言います。 |
フランクゲーム | ポーンではなく、ナイトやビショップなどの駒を序盤に展開させるゲームを言います。 |
オープンゲーム
スコッチオープニング
初心者向きのオープニングとして有名なのがこれです。初手から「e4, e5, Nf3, Nc6, d4」と進みます。
セミオープンゲーム
ペトロディフェンス
ロシア防御とも言われており、名称はロシアのチェスプレイヤー「ペトロフ」が多様していた事に由来しています。初手から「e4, e5, Nf3, Nf6」と進みます。
クローズドゲーム
クイーンズギャンビット
クローズドゲームで最も有名なものが、この「クイーンズギャンビット」です。1600年代にすでに知られていたオープニングでとても歴史が古いオープニングの一つです。そのため非常に多くの亜種が存在しますが、ここでは標準的なものをご紹介します。
初手からd4, d5, c4と進みます。4とポーンを取らせて、相手の駒を中央から外すという狙いがあります。
キングズインディアンディフェンス
初手から「d4, Nf6, c4, g6, Nc3, Bg7, e4, d6」と進みます。
クイーンズインディアンディフェンス
初手から「d4, Nf6, c4, e6, Nf3, b6」と進みます。
ニムゾインディアンディフェンス
初手から「d4, Nf6, c4, e6, Nc3, Bb4」と進みます。
チェスの手筋
フォーク
フォークとは、同時に二個以上の駒を攻める攻撃方法をいいます。チェスは全ての駒でフォークをかける事が出来ます。上図がそれぞれの駒のフォークのかけ方です。最もフォークで利用される駒はナイトの様です。
ピン
ピンとは、相手の特定の駒を釘付けにし動けなくする攻め方です。ピンで刺した様にするのでピンと言います。ピンというのは、かけた駒が動くと損をする状態にする攻め方で、かけられた駒はそこから動けなくなります。
上図ではビショップでルークにピンをかけています。ルークが動けばキングが取られるので動けません。
スキュア
スキュアとは、こちらの駒の効きのライン上の、敵の二つの駒を取りに行く攻め方です。スキュア、もしくは串刺しと言います。ピンと似た攻め方ですが、ピンは手前の駒を釘付けにする目的ですが、スキュアは明確に2個の駒を串刺しにし、一方を取る目的で行う事が違います。
上図はビショップでキングとクイーンを串刺しにし、クイーンを取りにいった局面です。
ディスカバー
ディスカバーとは、狙う駒が一直線上にある時、狙っている駒Aを動かすのではなく、その間にある駒Bを動かして駒Bで攻撃しながら、駒Aでも攻撃するという攻め方です。
上図では間接的に味方のルークが、敵キングを睨んでいます。間にあるナイトがd6へ跳ぶと、ルークの効きが通りチェックとなります。当然キングを逃げますが、跳んだナイトはそこからc8へ跳び敵ルークを取る事が出来ます。
ダブルチェック
ダブルチェックとは、2つの駒で同時にキングをチェックする攻め方です。ダブルチェックはディスカバーを使って行われます。ダブルチェックをかけられたキングは、逃げるしか手はありません。2つの駒で同時にチェックがかかっているので、間に駒を置く、チェックしている駒を取る、という方法が利かないためです。
上図ではNf6でナイトとルークのダブルチェックとなりそのままチェックメイトです。
ツークツワンク
ツークツワンクとは、「動きの強制」といったドイツ語で、相手に手を強制するテクニックです。
ツークツワンクは、相手に状況が悪化する手を指さざるを得ない状況に持っていくテクニックで、パスが出来ないチェスの高等戦術です。
まず図から「Kf1」と進みます。黒のキングは白のキングとナイトにより身動き出来なくなりました。となればポーンを動かすしかありません。
次に「h2」と進みます。黒はやりたくなくともこれ以外手がありません。
そして「Nf2#」となりチェックメイトです。
サクリファイス
サクリファイスとは、何かの駒を犠牲にしてより有利な状態に持っていくテクニックです。ここでは最も強く捨てにくいクイーンを使って、サクリファイスを行います。
上図で、白クイーンが黒ナイトを取ったとします。黒はポーンで取ると白のルークでキングを取られるのでナイトで取ります。するとe1のルークが通り、e8でチェック、その後はNf8、Rxf8#でチェックメイトです。
ポーンチェーン
ポーンチェーンとは、ポーンの上手い構え方の事です。ポーンを連なって置かれている様を「ポーンチェーン」と言います。非常に守りが堅いので、覚えておくと役に立つでしょう。
色々なチェックメイト
チェスで勝利するにはチェックメイトをしなければなりません。チェックメイトにはよく表れる様々なパターンが存在し、それらを知り覚えておけば勝率を上げる事が出来ます。
エポレットメイト
エポレットメイトとは、本来キングを守るはずの左右の味方の駒が邪魔になり、敵のルークやクイーンによって詰まされるメイトのことを言います。和名では肩章メイトともいいます。
上図がルークでエポレットメイトを決めた図です。本来ならングを守るはずの左右のルークによって逃げ道が塞がれ、キングはチェックメイトされています。
フールズメイト
フールズメイトとは、2手でチェックメイトが決まってしまうという、非常に短いメイトです。よく初心者がうっかりして引っ掛かってしまいます。
初手から「f3, e5, g4??, Qh4#」です。
たったこれだけの手数で、見事にチェックメイトが決まり白が負けました。
学者メイト
学者メイトとは、1600年代からある古典的なメイトです。短手数で決まるメイトで、初心者がよく引っ掛かります。
まず「e4, e5, Qh5, Nc6」と進みます。
そして「Bc4, d6??, Qxf7#」でチェックメイトです。
バックランクメイト
バックランクメイトとは、味方の駒が邪魔となり最下部において決められるメイトの事です。
上図は白のルークでバックランクメイトが決まった図です。うっかりしていると突然決められるため、注意が必要です。
レ・ガルのメイト
レ・ガルのメイトとは、1700年代フランスのチェス名人レ・ガルが行ったチェックメイトであり、そこからこの名前が付きました。
レ・ガルのメイトは7手のメイトです。
まず「e4, e5, Nf3, d6」と進みます。
次に「Bc4, Bg4, Nc3, g6」と進みます。
さらに「Nxe5, Bxd1, Bxf7, Ke7, Nd5#」でチェックメイトです。
ボーデンメイト
ボーデンメイトとは、サミュエル・ボーデンにより発見されたメイトです。
ボーデンメイトは、かなり長いメイトです。
まず「e4, e5, Nf3, d6」と進みます。
次に「c3, f5, Bc4, Nf6」と進みます。
次に「d4, fxe4, dxe5, exf3」と進みます。
次に「exf6, Qxf6, gxf3, Nc6」と進みます。
次に「f4, Bd7, Be3, 0-0-0」と進みます。
次に「Nd2, Re8, Qf3, Bf5」と進みます。
次に「0-0-0, d5, Bxd5, Qxc3」と進みます。
次に「bxc3, Ba3#」となり、チェックメイトです。
ダミアーノメイト
ダミアーノメイトとは、1512年に発表された5手メイトです。
まず図から「Rh8+, Kxh8」と進みます。
次に「Rh1+, Kg8」と進みます。
そして「Rh1+, Kxh8」と最初と同じ様な事をやります。
次に「Qh1+, Kg8, Qh7#」でチェックメイトです。
スマザードメイト
スマザードメイトとは、全く動けない状態のキングに対して行うチェックメイトです。キングの周りを逃げ道なく、ガチガチに囲った時に仕掛けられる場合があります。
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