【レビュー】TRICK 隠し神の棲む館 6/10点【DS】

版権物なのに面白い

ニンテンドーDSは大ヒットしたハードで、且つゲーム開発費が安いのか、専門のゲーム会社以外も多くソフトを発売している。テレビドラマを原作にした作品も多く、この「TRICK 隠し神の棲む館」もその一本だ。

私の経験則から言えば、この手の版権物ゲームは大体つまらない。人気の版権(漫画とかアニメとか)の力を借りて、手っ取り早くヒットさせようと安直な作りになっているからだ。昔、コナミが租税乱造していた「対戦ぱずるだま」はその筆頭だろう。

だが、予想に反し「TRICK 隠し神の棲む館」は佳作だった。

魔改造のないドラマファンが楽しめる作り

本作は実写ではないものの、キャストの特徴をよく捉えたイラストが使われ、内容もドラマ版TRICKのとある一話みたいな、違和感の無い仕上がりになっている。原作ファンも安心して遊べること請け合いだ。

いつもの曲、いつもの黄身が出てくる。

しっかり推理感のあるシステム

システムは他の推理物DSソフトと似ているが、捜査で見付けた要素が1枚のカードとなり、そのカードの組み合わせで推論を作るところに個性がある。

これが意外と難しい。カードを総当りで組み合わせていけば必ず正解が分かるわけではない。間違った組み合わせでも、もっともらしい推論が完成してしまう、つまり引っ掛けがあるのだ。

相棒の上田教授はいつも間違った推理をする、様に見せかけて時折正しかったり(否定する選択肢を選ぶと失敗になる)、特定のカードを突きつけるイベントでは、あえてカードを選択せず、最初に提示されるどうでもいい選択肢に正解が含まれていたりと、ちゃんと考えないと駄目なのだ。

こういった本作の特徴が推理してる感をもたらす。だからといって理不尽な難易度ではない。ゲームオーバーになっても同じところから何度でも再開可能だ。

原作ドラマのお約束もフォロー

原作でお約束の展開やネタ、いかにもこの人物が言いそうな台詞など、原作ファンなら思わずニヤリとしてしまう描写も多い。

ピンチになり、山田奈緒子を犠牲にして逃亡を図ろうとする上田次郎。

堅苦しい文章表現に違和感あり

違和感があったのは捜査パートでの独白文だ。主人公の山田奈緒子がこんな表現するのかな? と感じる堅苦しい内容や別人のような口調。この部分のライティングを担当した人が文学的な人だったのかもしれない。

ストーリー序盤はダルい

物語序盤は、インチキ超能力者たちのトリックを見破る流れ。

物語中盤で殺人事件が連続し、殺人トリックを見破る流れになる。殺人が起きるまでちょっと長いなと感じた。

その後、事件の犯人として山田が疑われ、絶体絶命の危機を迎えるのだが、

この先はネタバレになるので、是非プレイして楽しんでほしい。

原作を知っている人も、知らない人も楽しめる内容でおすすめできるゲームだ。Amazonのレビューは振るわないが、堂々の佳作である。

総プレイ時間:約12時間
クリアまでの時間:約12時間

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